2025-07-10
「思い出進行形」
「思い出進行形」
6時の鐘が鳴ると、夕焼け空が町を包み込む。
子供のころの私はいつもその鐘の音を聞くと、
遊びをやめて家に帰る時間だと感じていた。
公園で友達と鬼ごっこをしたり、かくれんぼをしていた時間が
一瞬で終わりを告げるような感覚だった。
ある日、どうしても帰りたくない時があって、
鐘の音が聞こえないふりをした。
友達と一緒にもう少しだけ遊び続けようと決めた。
しかし、空がどんどん暗くなり、
冷たい風が吹き始めると、少し怖くなってきた。
周りを見渡すと、いつの間にか友達も帰ってしまい、
一人ぼっちになっていた。
急いで家に帰ると、母が心配そうに待っていた。
「鐘の音は帰る合図なんだよ」と優しく言われ、その言葉が胸に残った。
それ以来、6時の鐘はただの音ではなく、
大切な時間の区切りとして心に刻まれるようになった。
今でもその鐘の音を聞くと、その時を思い出す
なんてこともなく。
鐘の音も会社の中では思い出すこともなく
ひたすらキーボードを打ち鳴らす音だけが響き渡る。
いつになったら帰れるのか
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